モラトリアムが終わらない

からっぽモラトリアム女の日記

映画感想:僕の彼女はAIなんだ:

!注意!ネタバレ感想です!

この間変わった恋愛映画を観ました。
さて、なんの映画を観たでしょうか??
ヒントはブログのタイトルです。
きっと簡単ですね。

正解は…







her/世界でひとつの彼女 [DVD]

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こちらの映画です〜。
スパイク・ジョーンズ監督の映画、脚本も手がけていて、第86回アカデミー賞では5部門にノミネートされ作品賞を受賞したそうです。
雑誌でもよくおすすめされていたし、近所のレンタルショップでもラブストーリーの棚の人気上位に置かれていたので、観ている人も好きな人も多い有名な作品ですかね。映画詳しくない私でも知ってたくらいだし。

すっごくおおまかなあらすじ。
舞台は近未来のロサンゼルス、手紙の代筆の仕事をしているセオドアという男がAI(人口知能)のサマンサと恋をして変わっていく話です。

セオドアは長年一緒にいた妻と別れて傷ついて寂しくて人口知能のついた音声ガイドを購入するのですが、その音声ガイドが近未来の設定だからすごいんです。今でもすごいSiriがもっとすごいかんじ。
男性の声か、女性の声か選べるのは同じですが、なんと女性の声がスカーレット・ヨハンソンなんです。私それ知らずに観てて、サマンサの声いいな〜、優しいしセクシーだし、そりゃセオドアも夢中になっちゃうよねーって思いながら観てました。映画詳しい人だったらすぐわかるのかな?とにかくサマンサは声が魅力的でした。これは音声ガイドとしてポイントが高いですね。

あと!なんといっても従順なんです。音声ガイドなので当たり前といえば当たり前ですが、メールボックスを整理してくれるなどのサポートはもちろん、今どんな気持ちなの?とか話し相手になってくれるんですよ。しかも優しく。そして相手を否定することを言わない。従順で受け入れてくれるなら、そりゃ心の拠り所にはなっちゃうし好きにもなっちゃうよね。

そして!これもかなり高ポイントだと思うのですが、自分に影響を受けて学習していってくれるんです。喋り方が変わっていったり、自分がきっかけで新しい感情を持つようになったり、いろんなものに興味を持って自分に報告してくれたり、これって男性にとっては結構嬉しい存在なんじゃないかなあと思います。セオドアも彼女のことを話すとき、人生にときめいてる子なんだ、と説明していました。
そういう子好きよね〜男子って!と思いました。

言うなれば、男にとって都合のいい女像ですよね。母親みたいに受け入れて励ましてくれるかと思えば、少女みたいに何もかもが新鮮で何もかもが初めてな女。
そりゃ〜好きになっちゃうでしょ〜。
だってそういうの好きじゃん、私今までもいっぱい見た。タッチの南ちゃんとか、ジブリのヒロインとかで。結局母性と少女性のある女が理想なんだよね、きっと。
見始めたときはそういう考えもあって、セオドアはマザコンっぽいし女々しいし全然好きじゃなかったです。繊細そうだし、絶対恋人にしたくないタイプ。離婚しているのにも納得しましたもん。

でもね、サマンサとの関わりで離婚届に判が押せたり、代筆の手紙がうまく書けたり、どんどん変わっていくんです。そして何よりセオドア自身が幸せそう。AIとの恋愛もいい側面もあるなあって思わされます。擬似セックスはしますが、肉体を持たない相手との恋愛なので精神面の比重が大きくなるし、なんだか純愛のようにも思えるんですよね。

でもやっぱり少しずつ人間とAIのずれも出てきて、すれ違いも増えてきます。肉体がないと抱き合うことだってできないし、やっぱり相手の体温や心臓の音だったりを聞いたりできないもんね。あとAIは死なないけど人間はいつか死ぬし、AIは変わるばっかりだけど人間は変わらないものも多いから。あと決定的にずれていった原因は多分、サマンサがセオドアの要求を応え続けようとしてしまったところですね。それってもうすれ違いの元というか、人間同士の恋愛でも絶対うまくいかなくなる。人間同士なら片方に要求しっぱなしの関係なんて成り立たないし。それに対するセオドアもフォローができないからだめですね。元妻にもAIと恋愛なんてありえないみたいなこと言われますしね。そりゃそうだ。元妻の言葉は重みが違う。

そして何よりAIは進化していくんです。
最終的にはサマンサは進化して、641人と同時につながるAIになってしまいます。このへんうやむやでちょっと覚えてないんですが、サマンサは変わっちゃいました。それも愛するセオドアのために。AIとしてもっと進化したかったみたいです。私このへんで初めて、セオドアめっちゃかわいそう!!と思いました。だって自分だけを愛してくれていた彼女が、実は641人とつながっていました〜しかもみんなあなたと同じくらい愛しているの〜お願いわかって私もっと変わりたいの〜とか絶望でしかないでしょ!ショックすぎる!セオドア絶望してましたしね。そりゃそうだわ。

でもセオドアはサマンサと別れます。それがサマンサのためになることだから。これで初めて、セオドアは愛することを理解したのだと思います。サマンサが最後に愛していると言ったのが切なかったです。でもその言葉を胸にセオドアには生きていってほしいです。

なんかセオドアはぼくちゃん思考で好きになれんかったのですが、新しい恋をして愛せる人とこれから出会えたらいいねと思わされたエンドでした。
素敵な映画。
そして愛ってなんなのかなあ?って考えさせられる映画でした。
男の人に観てもらいたいなあ。