彼は 15で いなくなる
私の大好きな漫画。
- 作者: いくえみ綾
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/07/24
- メディア: コミック
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潔く柔くの10巻から。
きれいで切ない話が多いのですが、主人公のカンナもきれいで切ないです。
潔く柔くはオムニバス形式ですが人間関係やストーリーはつながっていて、梶間という男性とカンナという女性に関わる人たちの話でできています。
梶間とカンナ自体はあまり関わりはなく、どちらかといえばカンナを中心に話は進んでいきます。
カンナにはハルタという幼なじみがいて、ハルタはカンナのことが好きでした。ですが想いを伝えることはなく、同じ高校へ進学してからも、幼なじみだから特別だけど付き合ってはいないという関係のまま一緒にいました。
そんな近くにいて当たり前だったハルタが高校一年生の夏、事故で亡くなってしまいます。
そんなカンナの心境は誰にも打ち明けられることもなく、ハルタのことをどう思っていたのかわからないまま話は進んでいくのですが、
潔く柔く10巻でカンナ編がスタートし、カンナ目線のストーリーが語られることとなります。
それまではカンナって周りからの印象ばかりで本当は何を考えているのかよくわからない子だったんです。
ハルタのことがあってから孤立がちになるんですけど、当人はぼ〜っとしていて辛そうじゃないというか、人を寄せ付けないけど人当たりはいいので謎な子でした。
カンナってすごくきれいな子なんです。他校の生徒から騒がれるくらい。だから余計にいろいろ勘ぐられてて、ハルタもモテる方で有名だったので周囲の注目度や噂も結構すごいです。
それがカンナをさらにミステリアスにして孤独にしたんだろうなあと思います。
ミステリアスというか、ふわ〜っとした子ですけど、よくわからないっていう印象でした。あとすごくモテるのでとりあえず女の敵です。それは間違いない。
ですがカンナ、10巻を読むと内面がさっぱりしてて普通の子です。さっぱりしすぎなくらいです。あといろいろ鈍い子なんだなあと思います。時間がゆっくりで、他の子があの人かっこいいとかモテたいとか言っているのを理解できてなかったり。それはハルタが近くにいたからなのと、カンナがきれいだけどそれに執着する性格じゃなかったからだと思います。
カンナが社会人になってから物語は動きだし禄という男性に出会いますが、心の中にしこりのように残っていたハルタの死をどう乗り越えていくのかが見所です。
カンナは本当にきれいでモテる子に描かれていて、カンナ自身も男って虫みたいくらいには思っているところがあるので共感できないところもあるかもしれません。
でも思春期の恋の切なさや甘酸っぱさ、大切な人の死を乗り越えること、それらが美しく描かれておりとても素敵な作品です。
是非一度読んでみてください。